
バンアパの新しいアルバム『謎のオープンワールド』の資料用テキストを僭越ながら担当させてもらいました。何しろ資料用なんでちょっと文体固めですが、木暮兄ぃに話しを聞いて(@方南町ジョナスン)まとめたものなので、本邦初披露の情報も多い、興味深い内容になってるのではないかと。リリースはまだちょっと先ですが、いろいろ妄想しながら楽しみにお待ちください!
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前作『街の14景』から約2年弱。シングル「BONGO ep」を経て、遂にthe band apart 7枚目となるフルアルバムが完成した。これは、過去最高にバラエティと創造性に富んだ内容でありつつ、唯一無二の、まぎれもないバンアパ・サウンドが全編にわたって鳴り響く、彼らの新たなマスターピースと言える傑作だ。
まず驚かされたのは、なんと言っても作品に冠されたタイトルだろう。『謎のオープンワールド』――それ自体が全くの謎なのだけれど、「オープンワールド」とは一般的にゲーム用語で、メンバーが愛好する「Grand Theft auto」のように広大な世界を自由に動き回って探索できるように設計されたもの(「箱庭」が最も適切な日本語訳だろうか)。前述のとおりバラエティ豊かなサウンドとなったことから、曲間には印象的な4つのスキットが挿入され、我々リスナーは目くるめく“オープンワールドの謎を巡る冒険”へと誘われることとなった。
前アルバム『街の14景』同様、彼らのハウススタジオである「STUDIO VANQUISH」にて、信頼するエンジニアにしてコンガ奏者・速水直樹氏と共にレコーディングされ、全曲日本語詞となった今作だが、一方で、それぞれの楽曲をメンバー個々で作り進めていった前作とは異なり、今回は可能な限りバンドで議論とセッションを重ねて制作されたそうだ。「遊覧船」は川崎のギターフレーズと木暮の打ち込み、「消える前に」は荒井と川崎による原案をベースに木暮と原でリズムを構築、といった具合に、今作のジャンルを越境する豊かな曲調は4人のイマジネーションが入り混じって昇華されたことで実現したのだろう。
また、精緻かつダイナミズム溢れるバンド・アンサンブルを追求した前作からの反動もあって、何より自分たちが楽しむことを第一として、極力シンプルな(かつ、奥行きを持った)サウンドデザインを心がけたという今作。ゆえに、シーン切っての技巧派バンアパならではのトリッキーで心踊るアレンジもありつつ、より主旋律のメロディが強く引き立つことに。日頃ロックというジャンルに疎遠なリスナーもすぐ口づさめるくらい、“グッドソング”揃いのアルバムに仕上がっている。ストレートなラブソングと呼べるようなものから、現代社会を鋭く射抜く風刺的視線、あるいは自分たちの揺るがぬ矜持を示したものまで、メンバーの個性が強く滲み出たリリック面でも聴き手を惹きつけてやまないだろう。
確固たるサウンドスタイルとポジションを確立しながら、作品毎に清新な驚きと興奮を届けてくれるバンアパ。また新たな境地に歩を進めた今、the band apartという名のオープンワールドは無限とも思える広がりを感じさる。この先も4人の動向から目が離せないし、来年2月からの全国ツアーでも、我々を未知なる音楽世界へと誘ってくれるはずだ。
the band apart asian gothic label 2015-01-21
DVD『510×238』川様インタビューはこちら↓
https://note.mu/akihirock/n/nb3dad2e56e92『謎のオープンワールド』収録曲
1, (opening)
2, 笑うD J
3, ピルグリム
4, 廃棄CITY
5, (save point A )
6, 禁断の宮殿
7, 殺し屋がいっぱい
8, 遊覧船
9, 月と暁
10, (save point B )
11, 裸足のラストデイ
12, 消える前に
13, 最終列車
14, (ending)
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Hi-STANDARD PIZZA OF DEATH RECORDS(DDD)(D) 2013-09-11
posted by GBEV at 20:57| 東京 ☀|
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